at,in,onは空間から時間、そして、そこから様々な用法へと意味が広がる前置詞の代表的な存在です。最初に、この3つの前置詞の空間的イメージをまとめておきます。
| at | 点 | ~の地点で | at the station(駅で) |
| in | 範囲 | ~の中で | in the room(部屋の中で) |
| on | 接触 | ~にくっついて | on the desk(机の上に) |
「点」を表すat
atとinはどちらも場所を表す点で共通しており区別しづらいので、「狭いところにはat、広いところにはinを使う」と説明されることがあります。しかし、この「狭い/広い」はどういう意味によるのでしょうか。何m2以上であれば「広く」て、どれだけなら「狭い」のでしょうか。
I met him at the sataion.(私は駅で彼にあった)とI met him in New York.(私はニューヨークで彼に会った)を比べた場合、駅のほうが狭いのでthe stationにはatを用いてat the stationとするという説明には納得がいきます。He studied English in the room.(彼はその部屋で英語の勉強をした)ではどうでしょう。この分のin the roomにはatではなくinが使われていますが、atよりもinが広いのでしたら、彼の部屋は駅よりも広いのでしょうか?
atとinを区別するのに、「狭い」とか「広い」といった、言葉のあやというか、根拠となる基準が曖昧なフィーリングに頼るのは感心しません。atとinの違いは場所の狭い広いではなく、場所のとらえ方によるものです。
in the roomのinは「~中で」と訳すことからもわかるように「広がりのある空間の中」を示しているのに対し、at the satationのatは駅を「点」としてとらえています。前置詞atの根本イメージは「点」です。
「駅を点としてとらえる」とは例えば、地図では駅がその中の1地点として描かれることを思い出してください。また、鉄道の路線図では駅が点になっています。ですから、the stationを「点」ととらえると、I met him at the staion.(私は彼と駅で会った)のようにatを使います。一方 ,the stationを「駅の建物」といった「広がりのある空間」ととらえると、I met him in the station.(私は彼と駅で会った)のようにinを使います。もっと正確に訳せば「私は彼と駅の構内で会った」です。もちろん、駅ナカで食事したのも、I had dinner with him in the station.(彼と駅の中で食事をした)です。
この「点」というイメージからatのもつさまざまな用法が説明できます。「広がりをもたない1地点」を示すatは時間の点になると、at three o’clock(3時に)やat the time(その時に)のような「時間の流れの中の1時点」、すなわち「時刻」を指します。
この「点」のイメージから「矢印の先が指す点」という用法が生まれ、at 50 mph(時速50マイルで)やat 100 degrees C(摂氏100度で)のような使われ方をします。速度メーターや温度計の針の先が、目盛りの点を指している様子を思い描いてください。
また、atは「点」から「狙う点」へとイメージが広がり、aim at~(~を狙う)のような使われ方をします。同じ、「1点に狙いをつけて視線を向ける」ということから、look at~(~を見る)にもatが使われています。さらに、「~という点にある」というイメージは、at work(仕事中に)やat war(戦争状態で)などの、「~に従事する」や「~の状態にある」を意味するatになります。
辞書でatを引くと、さまざまな意味が載っていますが、それを「点」というイメージからとらえなおしてみると全体がまとまって見えてきます。
atは「点」を表す。この「点」というイメージから、「空間の点」「時間の点」さらに「指す点」「狙う点」、そして「状態」などへ意味が広がる。
<at(点)>
空間の点:at the station(駅で)
時間の点:at three o’clock(3時に)
指す点:at 50 mph(時速50マイルで)
狙う点:aim at(~を狙う)
状態:at work(仕事中に)
「範囲」を表すin
前置詞inの根本イメージは「範囲の中」です。inの空間的イメージは「広がりのある面や空間の中」で、in the room(部屋の中で)やin Tokyo(東京で)のように、範囲や領域の中にあることを示します。時間の場合も同じで、in 2025(2015年に)、in summer(夏に)、in March(3月に)のように、inは年、季節、月などの「広がりのある時間の中」を表します。そこからin two days(2日[という範囲の中]で)といった所要時間も表します。
「範囲の中にある」というイメージから、周りのものに「囲まれている」「包まれている」といった感じが出て、in jeans(ジーンズをはいて)などの表現になります。さらに、「範囲の中にある」から、「~状況の中にある」「~の状態の中にある」「~の形の中にある」などへ意味が広がり、in the rain(雨の中で)、in love(恋して)、in a line(一列に)のようにもin が使われます。
inは「範囲の中」を表す。この「範囲の中」というイメージから「空間」「時間」の中のみならず、様々な「状況」「状態」「形状」の中にある様子を表す。
<in(範囲の中)>
広がりのある空間の中:in the room(部屋の中で)
広がりのある時間の中:in summer(夏に)
着用:in jeans(ジーンズをはいて)
状況:in the rain(雨の中で)
状態:in love(恋して)
形状:in a line(一列に)
「接触」を表すon
onは「~の上」だと思い込んでいると、His house is on the riverを川の上で水上生活をしていると勘違いしてしまいます。これは誤りで、正しくは「家が川に接している状態」、つまり「彼の家は川べりにある」ということです。
前置詞onの根本イメージは「接触」です。空間的には、机でも壁でも天井でも、そこに接していれば、on the desk(机に)、on the wall(壁に)、on the ceiling(天井に)のようにonを用います。on the ceilingを「天井の上に」とすると屋根裏が思い浮かびますが、そうではありません。これは「天井に接している(くっついている)状態」ですから、必ずしも「on=上」ではないのです。
onが時間に使われるとon the 4th of July(7月4日に)、on Sunday(日曜日に),on the morning of Sunday(日曜日の午前に)のように、onの次には日や曜日、あるいは特定の日の午前や午後などが続きます。これは、「日・曜日」や「特定の日の午前・午後など」が、時刻(at three o’clock)といった時の1点や、月(in January)、季節(in summer)、年(in 2015)のような範囲とは違ったとらえられ方をしているからです。
「何日の出来事」や「何日の朝の出来事」と言うように、出来事は「日・曜日」や「特定の日の午前・午後など」と密接に結びつきます。例えば、「運動会はいつ」と聞くと、ふつう「10月10日」だとか「日曜日」などと日や曜日が返ってきます。このように、時と出来事は密接に結びついている、つまり「くっついている」というイメージから、He came on Sunday.(彼は日曜日に来た)のon Sundayにはonを使います。これは「彼が来た」という出来事が、「日曜日」という時に「くっついて来た」ということです。
「接触」というイメージから、動作への接触、すなわち「同時」という用法が出てきます。on delivery(配達時に)のonがそうですが、これは「配達時にくっついている」ことを表しています。また、on~ing(~するとすぐに)が「~することにくっついて」という「同時」の意味になることは、2つの出来事や行為が時を置かず「接触」しているイメージから容易に理解できるでしょう。それに対してin~ing(~するときに)は「~することの中で」ということです。
また、on fire(火が燃えて)やon the team(チームに)のon が表す「~の状態にある」「~に属している」なども、「くっついている」という「接触」のイメージに由来します。さらにbased on~(~に基づいて)やdepend on~(~に依存する)のonは、くっついて何かを支える土台を示すことで「基づく」や「~に依る」という意味になります。on one’s income(自分の収入で)のonも同じです。
onには「~について」という意味もありますが、これは同じように訳すaboutよりも専門性が高い場合に使います。ですから、a book on English grammerは「英文法についての専門書」です。aboutは「周辺」を意味し、onは「接触」なので、くっついているonの方がより専門性が高いのは当然でしょう。
前置詞ではありませんが、「~を続ける」という意味のgo on~やcarry on~という熟語にみられる副詞のonにも、「ずっとくっついている」という「接触」のイメージから「~し続ける」という「継続」の感覚が出ているのです。
onは「接触」を表す。この「接触」というイメージから、空間的には「くっついた状態」を、時間的には出来事と密接な関連のある「日・曜日」などを表し、さらに「同時」「状態」「所属」「基礎・依存」「関連」などへ意味が広がる。
<on(接触)>
空間的な接触:on the desk(机に)
時間的な接触:on Sunday(日曜日に)
同時:on delivery(配達時に)
状態:on fire(火が燃えて)
所属:on the team(チームに)
基礎・依存:on one’s income(自分の収入で)
関連:on English grammer(英文法について)


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