同じ動詞でも複数の使い方がある
「文型なんて小難しいだけ」「学ぶ意味はあるのか?」「フィーリングで大体分かればOK」と疑問に思う方がいるかもしれません。
ただ、次の英文をみてください。動詞は同じgetが使用されていますが、文型が全て異なります。その結果、getが全く違う意味になります。
① How can I get to the station?「駅にはどうやって行けますか?」(第1文型)
② She got sick last night.「彼女は昨晩病気になった」(第2文型)
③ We got tickets to the concert.「コンサートのチケットを手に入れた」(第3文型)
④ I’ll get you a taxi.「タクシーを呼んであげよう」(第4文型)
⑤ You should get the kitchen clean.「キッチンをきれいにすべきだ」(第5文型)
フィーリングに頼り、単語の意味をなんとなくつなぎ合わせるだけでは対応できません。get「~を手に入れる」という理解では不十分なのです。
昔は語順が自由だった。
昔の英語は、語順が比較的自由でした。なぜかというと、主に語尾を変化させることで、「~は」なのか「~を」なのかがわかったからです。昔はといっても、現代でもその名残があり、例えば、She loves him.「彼女は彼を愛している」を仮にHim loves she.としても、なんとか意味は伝わりそうです。これは、he/him「彼は/彼を」のように、語尾を変化させることで「~は」「~を」の違いを表現できる為です。
一方、The girls loves the boy.「その女の子はその男の子を愛している」では語順以外に手掛かりがありません。語順を入れ替え、The boy loves the girl.「その男の子はその女の子を愛している」とすると、意味が大きく変化してしまいます。これは、the boyやthe girlという単語が「~は」「~を」で同じ語尾を持つからです。語尾で意味の違いを表現できないので、語順で意味の違いを表現するしかないのです。
昔の英語では、すべての単語がhe/him「彼は/彼を」のように、主に語尾を変化させていました。そのため、語順が比較的自由だったのです。この点は日本語とも似ています。日本語は、「は」「を」などの助詞を持つため、「彼女は彼を愛している」「彼を彼女は愛している」のように、語順が比較的自由です。
語尾変化で意味の違いを表していましたが、英語はアクセントが単語の頭にくることが多い言語です。語尾の弱い発音は消失し、語尾変化の多くは失われてしまいました。その結果、英語では語順の重要性が増したのです。
その後、動詞を中心に様々な文の型が発展していきました。それを後世の学者が分析し、パターンごとに分けたのが文型です。具体的には、C.T.Onionsという英語学者が1904年の著書「An Advanced English Syntax」で、提唱したものです。これは、動詞が主語以外にどんな分の要素(目的語、補語)をとるかという基準に従って文を分類したものです


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